中国三安光電社は湖北省から補助金をもらい、ミニLEDとマイクロLEDの生産工場の建設プロジェクトを鄂州市で実行しています。総投資額は120億元と言われています。新型コロナウイルス等の影響で建設は遅れましたが、2021年3月に生産開始される予定です。このプロジェクトは約756亩の面積をカバーし、計画総投資額は120億元、総建設面積は477,700平方メートルとなっています。 三安社はすでにSamsung社の主要なミニLEDチップ供給元となっていますが、この大幅な生産キャパシティー増は、各社のミニLED搭載製品の投入の大きな動機付けとなりえ、実際に、同社はApple社のミニLED搭載製品への供給元候補先の1社としても過去に挙げられたこともあります。 E视角. (2021) LED産業は価格競争が激化している背景がありますが、こうしたなか、マイクロLED、ミニLEDは特に中国LEDチップメーカーにとっては、新たな付加価値製品への参入チャンスとして捉えられ、関連分野の投資も活発化しています。 References E视角. (2021). 封顶|总投资120亿,三安光电Mini/Micro LED芯片项目封顶,3月将投产. Retrieved from https://www.sohu.com/a/449262072_505848
2021年1月の中国NEV (新エネルギー車)の販売台数は179,000台となり、前年同月比で238.5%増加しました。記録的な販売台数を作った2020年12月ほどの数量はありませんが、1月としては例年にない大きな数量で、CATL社、BYD社、国軒高科社などのバッテリーメーカーは春節の間も生産を続けていた模様です。 (工信部, 2021) またコバルトフリーバッテリー、四元系電池と併せて昨今、リン酸鉄リチウム(LFP)が再注目されています。テスラ社もモデル3でリン酸鉄リチウム(LFP)をを採用しています。三元系と比較しても安全性が高く、コストメリットや耐久性があると考えられています。 またバッテリーのリユース市場ではリン酸鉄リチウム(LFP)を使用したリチウムイオン電池が安全性が高く、電力貯蔵システム用で優先的に使うことがコンセンサスになっています。リユース・リサイクルという観点からも注目されるトレンドです。 なお現在、中国のEVバッテリー市場とリサイクルというテーマで講演のオファーを頂いておりますので、詳細が決まり次第、改めてご報告申し上げます。 References 工信部. (2021). 2021年1月汽车工业经济运行情况
上海で開催されているモバイル見本市MWC2021で、TCL CSOT社が新しいMini-LEDパネルを発表しました。このディスプレイは13.3インチのタブレットディスプレイとなっており、ミニLEDが搭載されています。ローカルディミング等を用い、超高コントラスト、100%NTSC超高色域、HDR1000、超薄型ボディを実現したと発表されています。 (TCL CSOT, 2021) CES2021では韓国勢もミニLEDバックライティングと量子技術を用いたテレビを発表したことにより、ミニLEDを用いた製品がトレンドになっていくことが考えられます。ミニLEDは、かつてマイクロLEDに至るまでの一時的な移行形態と見なされていましたが、マイクロLEDが本格的に市場に参入していくにはまだ時間がかかるため、まずミニLEDで経済規模を生み出そうとする流れが従来からありました。ただミニLEDの市場からの評価が高く、LCD、OLEDと並ぶ一つのディスプレイ技術として、再認識されている状況です。 References TCL CSOT/LED网. (2021). Retrieved from https://www.shangyexinzhi.com/article/3340227.html
康佳グループは同社のSmart wall Mini /Micro LED 8K製品に瑞丰光电(Refond Optoelectronics)社が参画していることを投資家からの質問で認めました(同花顺金融研究中心, 2021)。2000年に設立されたRefond社は中国国内で初めてSMD LEDの生産を開始したとされ、一般的なディスプレイ向けだけでなく、IR/UV LEDや植物育成用LEDなども手がける上場企業です。同社のマイクロLED、ミニLEDのモジュールはTCL社をはじめ多くの中国ディスプレイメーカーで採用が進んでいます。すでに2016年に国内外の主要顧客と協力してミニLED関連製品の開発に着手しており、2017年にはミニLED自動化生産ラインを構築しています。 一方の康佳グループは米国のシリコンバレーにも研究開発拠点を置いており、近年技術力を高めてきてます。2020年は新型コロナウイルスの影響で全体の家電事業の収益が悪化した一方で、2018年に設立した半導体事業部がマイクロLED、ミニLED製品で事業を牽引しようとしています。2020年12月には世界初とするマイクロLEDウォッチをリリースしています。このマイクロLEDウオッチのピクセルピッチはわずか0.12mmとなっています。 (Konka, 2020) マイクロLED、ミニLEDともにまだコストが高いことが課題とされています。コスト低減するためにマストランスファー工程の歩留まりだけでなく、材料や構成部品のコスト低減も進められています。台湾でエピスター社とレクスター社が経営統合したように、より統合的な視点から効率的な工程設計を開発していくことがキーとなっていくと考えられます。 References Konka. (2020). KONKA Releases the APHAEA Watch, the World's First Micro LED Watch
同花顺金融研究中心. (2021). 瑞丰光电:公司助力康佳发布Smart wall Mini /Micro LED 8K产品
米国で新政権が発足してから、対中締め付けも静かに緩和に向かうのではとの憶測も、先の電話会議の報道からすると、むしろエスカレートさせる選択肢も排除してないと考えられます。前政権が行った中国企業への措置はサプライチェーンの混乱を引き起こしていますが、物事はより複雑で、コロナ下で変動的になった消費スタイルや社会のデジタル化への推進、従来想定していた生産計画とのミスマッチ、技術・設備格差、レギュレーターによるテックジャイアントの締め付け等が絡み合っています。
また今回の政治的な駆け引きが危険なのが、台湾が巻き込まれていることで、テックジャイアントの製造委託先を米国がコントロールする構図はアジアの地政学的リスクを高めています。市場メカニズムに政治色が過剰に注入されれば、「労働力の商品化や交換による社会関係の確立」という資本主義の前提条件が崩され、よりナショナリズム化された時代に後退してしまうと考えられます。輸出管理を含めた政府介入がトレンドになることはエコシステム(サプライチェーン)のバランス失調を誘発し、健全ではないということは明らかです。
References (半導体イメージ画像)
PR TIMESでもプレスリリースを公開いたしました。セミナー当日はコロナ下にも関わらず、ご参加賜った多数のご聴講者様に、改めて深謝申し上げます。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000055998.html また弊社が調査発行した市場調査分析レポート「マイクロバイオームマーケットトレンド-2021版」も絶賛発売中です。 Kellogg社とUnilever社は2021年3月11〜12日に開催されるバーチャルイベントFuture Food-Tech内でスタートアップ企業から健康をサポートする新しいフードテックのアイデアを募っています。その中でもKellogg社は腸健康のための新しいマイクロバイオームベースのイノベーションを期待しています。(アイディア提出の締め切りは2021年2月5日) (Future Food-Tech, 2021) マイクロバイオームに関する研究は新しい発見が継続して確認されており、食品に対するアプローチも多様化しています。また治療薬や食品だけでなく、スキンケア、農畜水産業等、様々な分野で関連製品が投入され、アプリケーション開発も継続しています。健康に対する関心は近年さらに高まっており、この市場の拡大が期待されます。 References Future Food-Tech. (2021). Innovation Challenge 2021. Retrieved from https://futurefoodtechsf.com/innovation-challenge-2021/ マイクロバイオーム市場調査分析レポートについて☟
https://www.chong-wei.com/microbiome_market_trend.html 半導体パッケージングおよび電子部品組み立てソリューションのグローバルなリーディングサプライヤーであるKulicke & Soffa社は2021年2月3日にUniqarta社の株式100%を保有するにいたったと発表しました。この戦略的買収にはUniqarta社の特許ポートフォリオおよびその他の知的財産権が含まれます。 (Kulicke & Soffa, 2021) Uniqarta社は従来からマイクロLEDのレーザートランスファー方式を推し進めており、Laser Enabled Advanced Placement (LEAP)技術と呼ばれる独自技術はレーザースキャン技術による高精度なピック&プレースを軸とし、転送時のチップリリース層がレーザーパルスにより膨らみ、チップを置いていく技術となっています。リリース層が膨らむことによって、チップを落としていくのでレーザーによる直接的な損傷がないとされています。理論上は1時間に1億個以上のチップのトランスファーが可能とされており、実現すればマーケットが大きく開く可能性があります。 なお戦略的買収を行ったKulicke & Soffa社は以前からミニLED & マイクロLEDの研究開発に力を入れており、特に近年アライアンス戦略を活発化させている米国スタートアップ企業Rohinni社とは共同でミニLEDの実装装置PIXALUXを開発しており、事業は堅調に成長しています。 References Kulicke & Soffa. (2021). Kulicke & Soffa Further Extends Mini and Micro LED Technology Through Strategic Acquisition of Uniqarta
小鵬汽車(XPeng)は、2021年1月に6,015台出荷をし、月間最多台数を三か月連続で更新しました。小鵬汽車(XPeng)社はSUVタイプのG3とセダンタイプのP7を販売していますが、P7がより人気になっており、2021年1月31日現在、P7の累積出荷台数は18,772台になっています。同社は無料充電サービスも展開しており、現在100を超える都市に670か所の充電ステーションを展開しています。 (Xpeng, 2021) 小鵬汽車(XPeng)社は直近では自動運転機能「ナビゲーションガイドパイロット(NGP)」システムを実装していくことを発表し、テスラ社やNIO社の自動運転機能システムに追従しています。 全体として中国NEV市場は現状、息を吹き返していますが、NEVに対するリコールを含めた品質の問題も昨今、クローズアップされるようになっています。工信部では2020年にNEVの検査工程等を対象とした監査を行っており、関連企業の品質パロメーターに一貫性がないことを問題視するとともに、品質に対する意識向上を促す事態になっています。 数か月後に中国車載バッテリー市場概況をまとめた記事が雑誌に掲載されますので、またご報告申し上げます。 References XPeng. (2021). Record Monthly Deliveries
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