以前お伝えした通り、中国EVバッテリーメーカーSVOLT社が2021年に長城汽車のモデルにコバルトフリーバッテリーを供給すると考えられていましたが、直近で同社CEOが供給について具体的に言及したことが報じられています。SVOLT社は現在ヨーロッパに工場を建てる計画も進めており、候補地の絞り込みを行っています。また中国東部の无锡に新しい研究センターも開設するプランと2022年に中国STAR市場への上場についても意欲的なことが明らかになっています。 (SVOLT, 2020) 北京で開催されていたAuto China 2020でもコバルトフリーバッテリーについてのプレゼンが行われました。同社のコバルトフリーバッテリーはHプラットフォームとEプラットフォームの二つのタイプがあり、Hプラットフォームの226Ahバッテリーは、ハイエンドモデルに搭載される予定です。 同社第3世代高速ラミネーションプロセスを使用した226Ahバッテリーは、235wh / kgのエネルギー容量と、3,000サイクルを超える寿命を備えているとされます。マトリックスPACK設計により、800kmを超えるレンジを実現できる見込みです。 Eプラットフォームのコバルトフリーのバッテリー容量も増量の計画が立てられています。 (SVOLT, 2020) References SVOLT. (2020). “无钴芯生·启未来”的无钴电池
特許日2020年9月15日として公開されているアップル社のマイクロLEDに関連する特許がメディアで取り上げられ、話題になっています。特許にはリストバンド式のウェアラブル(フィットネスバンド)の図もあり、アップルウォッチ等の採用が注目されていますが、本特許自体はアプリケーションとしてはフィットネスバンド、スマートフォン、ノートブック等が想定されています。また当特許は実装の先の過電圧対策についてのもので、ピクセルコントロール(μLED)とマイクロドライバー、タイミングコントロール等を含めたシステム設計について広範囲な議論がされています。 ( Apple, 2020) 一方で日本国内でもApple Watchについて特筆すべきニュースがありました。医療品医療機器総合機構 (PMDA)が2020年9月4日付で、「家庭用心電計プログラム」(承認・認証番号:30200BZI00020000)と「家庭用心拍数モニタプログラム」(承認・認証番号:30200BZI00021000)を医療機器承認・認証しました(クラスII)。当承認により、デバイスとアプリ(プログラム)を通じ、心電図を表示したり心拍数をチェックしたりすることができます。Apple社がどこまでこの市場に本腰を入れてくるかは不明ですが、昨今の環境変化により健康に対する関心が今まで以上に高まっているのと、身体もしくは健康に対するビッグデータを有効なアルゴリズムによって、評価していくことは現在進行形のトレンドでもあり、注目が高まります。 References Apple. (2020) . Electronic Display Emission Scanning.
9月22日にテスラ社は待望のBattery Day(バッテリー・デイ)と名付けたイベントを開催し、株主や市場に向けて開発中のバッテリー技術についてプレゼンを行いました。現在、弊社が執筆準備中の書籍でも触れる予定ですが、当イベントのハイライトとしては、電池の構造設計を変更することで、パフォーマンスを向上させることが挙げられます。新しいバッテリーではタブレス構造で46×80mmの寸法となり、トータル航続距離も16%上昇するとしています。 (Tesla, 2020) また従来はウェットプロセスで電解質を塗布していましたが、ドライ方式に置き換えます。負極材についてはシリコンをメインに据える戦略が発表されました。正極材についてはコバルトを他に置き換えつつ、求められる航続距離に応じて配合を変えるコンセプトがマスクCEOから語られています。 References Tesla. (2020). Tesla Battery Day
オスラム社が車内空気消毒、清浄にUV-A技術を採用しています。同社製品「Air Zing Mini」は、車内の空気から細菌を取り除き、空気の質を改善するように設計されています。 「Air Zing Mini」のUV光は、360〜370 nmの波長で動作し、車内空気の消毒率は99.9%です。 オスラム社の発表によると、このデバイスはすでに鳥インフルエンザウイルスに対してテストも行われ、効果の確認がされています。 またこの空気清浄機は、空気中のアレルゲン、汚染物質、臭いも除去します。 オスラム社によると、この装置は空気をユニットに引き込み、酸化チタンフィルターを通過するとともに、UVA LEDのアレイによってクリーニングされます。 浄化された空気がハウジングの上部から排出される前に、光触媒反応がウイルスとバクテリアの細胞を殺します。 また封止されたUV放射であるため、デバイスがユーザーに危険を引き起こさないことも取り上げられました。 さらに、このデバイスは自立して使用できるため、オフィスの机の上など、車の外でもアプリケーションを使用できます。 (Osram, 2020) References Osram. (2020, September 17). Air wash: Osram's new UV light cleans the air in cars. Retrieved September 19, 2020, from https://www.osram-group.com/en/media/press-releases/pr-2020/17-09-2020 ※このニュースはトレンドフォース社のニュース記事にも取り上げられました。 ☟トレンドフォース社お勧めレポート
現在準備が進められているLeyard社のマイクロLED量産設備が10月に稼働開始します。生産能力としては2022年までに自発光モジュールが月産1,600,000,000セット、バックライトモジュールが月産20,000セットのレベルに達すると予想されています。同社はLEDエピウェハー大手の台湾Epistar(晶電)と提携しており、生産は共同で出資した利晶微电子社が行います。 報じられた内容によると歩留まりは98.9%、マストランスファーの速度は1000〜1500個/秒に達しているとされています。同社は自発光型のマイクロLEDディスプレイだけでなく、バックライト用のマイクロLEDも視野に入れており、10月に生産されるバックライト製品はノートブック等が含まれると報じられています(中国之光网, 2020)。 マイクロLEDを取り巻く環境は急スピードで変化しています。 なお弊社では台湾トレンドフォース社主催の「マイクロLEDフォーラム 2020」ウェビナーのご参加お申込み用ウェブサイトを大幅リニューアルいたしました。「マイクロLEDフォーラム2020」は今年で第4回目となり、マイクロLEDコンソーシアムCIMSも後援する一大イベントで、絶賛、お申込み受付中です。VerLASE社、Veeco社、ALLOS Semiconductors社など11名の講師陣が集結しています。講演資料はご視聴後にダウンロードできます。お申込みの締め切りは2020年10月30日の午前中までとさせて頂きます。詳細はこちらまで。 References 中国之光网. (2020). 利亚德:全球MicroLED最小尺寸40寸2k显示产品实现量产
先日開催させて頂いたセミナーの中からスライドを抜粋してご紹介いたします。当セミナーでは中国における幹細胞市場概観と併せ、規制等の取り組みもご紹介させて頂きました。 当セミナーの資料は現在無料で配布しておりますので、ご関心ありましたらお問い合わせフォームよりご連絡頂けますと幸いです。 References 前瞻产业研究院. (2020, July 29). 产业之问: 中国干细胞医疗行业群雄逐鹿 行业龙头花落谁家?. Retrieved August 25, 2020, from https://mp.ofweek.com/medical/a056714990077
技術情報協会が毎月発行している医薬系技術雑誌「PHARMSTAGE」(ファームステージ)の9月号に『マイクロバイオームの最新市場動向』として、マイクロバイオーム市場の分析を寄稿いたしました。
CATL社は長安汽車との戦略的パートナーシップ提携締結をアナウンスしました。CATL社の提携戦略は下流から上流、さらにはその先までを俯瞰したアプローチとなっており、これまでもそうですが、今後もこうした話が出てくると思われます。 (CATL宁德时代, 2020) 一方の長安汽車も2020年半ばを過ぎ、好調さが際立っています。同社が先日発表した8月のグループ全体の新車販売台数(速報値)は、前年同月比35.62%増の169,415台となっており、ここしばらく続く顕著な成長率となっています。 (长安汽车, 2020) 現在、中国の自動車市場は合資、地場、外資が入り乱れていますが、生き残りをかけての競争が加速しています。勝ち残るための一つのキーとなるのが、現在進行形で発展しているスマートシティーとどれだけシンクロさせることができるかにあると考えられます。 EVは単なる電池を使った車ではなく、電動化という枠組みで他の電気制御システムと統合してくことで、センサー等を駆使したモビリティー化が推進され、アドバンテージが高まっていくことが考えられます。 References CATL宁德时代. (2020). 宁德时代与长安汽车签署战略合作协议 长安汽车. (2020). 产销数据
BiomX社とBoehringer Ingelheim社が炎症性腸疾患における患者の表現型(Phenotype)に関連するバイオマーカーの発見でパートナーシップを結びました。この提携によりBiomX社は同社のXMarker分析プラットフォームを使用してバイオマーカーを特定するために、IBD(炎症性腸疾患)患者から取られた腸内マイクロバイオームサンプルのメタゲノムデータを生成します(BiomX, 2020)。 (BiomX) BiomX社はイスラエルに拠点を置く会社で同社のXMarkerプラットフォームは、超高解像度のDNA分析、AI技術、および大規模なクラウドコンピューティングリソースを組み合わせて、高い感度と特異度の分類器を構築しているとしています。 References BiomX. (2020, September 02). BiomX Enters Collaboration with Boehringer Ingelheim with the Goal of Discovering Microbiome-Based Biomarkers for Inflammatory Bowel Disease. Retrieved September 06, 2020, from https://www.biomx.com/enters-collaboration-with-boehringer-ingelheim/
Technology-BiomX (2019). Retrieved from https://www.biomx.com/technology/#biomarker-discovery (沖為工作室, 2020) COVID-19に対する治療のアプローチとして間葉系幹細胞を使用したアプローチが活発化していますが、他の治療法と合わせて使うアプローチも模索されており、一つの手法に拘らない冗長性を持ったアプローチも注目されています。治療の品質だけでなく、診断や保険、コスト等を俯瞰する、ユーザーに届くシステム設計の構築が求められます。
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Author沖為工作室合同会社 Categories
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2月 2025
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