中国三安光電社は湖北省から補助金をもらい、ミニLEDとマイクロLEDの生産工場の建設プロジェクトを鄂州市で実行しています。総投資額は120億元と言われています。新型コロナウイルス等の影響で建設は遅れましたが、2021年3月に生産開始される予定です。このプロジェクトは約756亩の面積をカバーし、計画総投資額は120億元、総建設面積は477,700平方メートルとなっています。 三安社はすでにSamsung社の主要なミニLEDチップ供給元となっていますが、この大幅な生産キャパシティー増は、各社のミニLED搭載製品の投入の大きな動機付けとなりえ、実際に、同社はApple社のミニLED搭載製品への供給元候補先の1社としても過去に挙げられたこともあります。 E视角. (2021) LED産業は価格競争が激化している背景がありますが、こうしたなか、マイクロLED、ミニLEDは特に中国LEDチップメーカーにとっては、新たな付加価値製品への参入チャンスとして捉えられ、関連分野の投資も活発化しています。 References E视角. (2021). 封顶|总投资120亿,三安光电Mini/Micro LED芯片项目封顶,3月将投产. Retrieved from https://www.sohu.com/a/449262072_505848
上海で開催されているモバイル見本市MWC2021で、TCL CSOT社が新しいMini-LEDパネルを発表しました。このディスプレイは13.3インチのタブレットディスプレイとなっており、ミニLEDが搭載されています。ローカルディミング等を用い、超高コントラスト、100%NTSC超高色域、HDR1000、超薄型ボディを実現したと発表されています。 (TCL CSOT, 2021) CES2021では韓国勢もミニLEDバックライティングと量子技術を用いたテレビを発表したことにより、ミニLEDを用いた製品がトレンドになっていくことが考えられます。ミニLEDは、かつてマイクロLEDに至るまでの一時的な移行形態と見なされていましたが、マイクロLEDが本格的に市場に参入していくにはまだ時間がかかるため、まずミニLEDで経済規模を生み出そうとする流れが従来からありました。ただミニLEDの市場からの評価が高く、LCD、OLEDと並ぶ一つのディスプレイ技術として、再認識されている状況です。 References TCL CSOT/LED网. (2021). Retrieved from https://www.shangyexinzhi.com/article/3340227.html
康佳グループは同社のSmart wall Mini /Micro LED 8K製品に瑞丰光电(Refond Optoelectronics)社が参画していることを投資家からの質問で認めました(同花顺金融研究中心, 2021)。2000年に設立されたRefond社は中国国内で初めてSMD LEDの生産を開始したとされ、一般的なディスプレイ向けだけでなく、IR/UV LEDや植物育成用LEDなども手がける上場企業です。同社のマイクロLED、ミニLEDのモジュールはTCL社をはじめ多くの中国ディスプレイメーカーで採用が進んでいます。すでに2016年に国内外の主要顧客と協力してミニLED関連製品の開発に着手しており、2017年にはミニLED自動化生産ラインを構築しています。 一方の康佳グループは米国のシリコンバレーにも研究開発拠点を置いており、近年技術力を高めてきてます。2020年は新型コロナウイルスの影響で全体の家電事業の収益が悪化した一方で、2018年に設立した半導体事業部がマイクロLED、ミニLED製品で事業を牽引しようとしています。2020年12月には世界初とするマイクロLEDウォッチをリリースしています。このマイクロLEDウオッチのピクセルピッチはわずか0.12mmとなっています。 (Konka, 2020) マイクロLED、ミニLEDともにまだコストが高いことが課題とされています。コスト低減するためにマストランスファー工程の歩留まりだけでなく、材料や構成部品のコスト低減も進められています。台湾でエピスター社とレクスター社が経営統合したように、より統合的な視点から効率的な工程設計を開発していくことがキーとなっていくと考えられます。 References Konka. (2020). KONKA Releases the APHAEA Watch, the World's First Micro LED Watch
同花顺金融研究中心. (2021). 瑞丰光电:公司助力康佳发布Smart wall Mini /Micro LED 8K产品 半導体パッケージングおよび電子部品組み立てソリューションのグローバルなリーディングサプライヤーであるKulicke & Soffa社は2021年2月3日にUniqarta社の株式100%を保有するにいたったと発表しました。この戦略的買収にはUniqarta社の特許ポートフォリオおよびその他の知的財産権が含まれます。 (Kulicke & Soffa, 2021) Uniqarta社は従来からマイクロLEDのレーザートランスファー方式を推し進めており、Laser Enabled Advanced Placement (LEAP)技術と呼ばれる独自技術はレーザースキャン技術による高精度なピック&プレースを軸とし、転送時のチップリリース層がレーザーパルスにより膨らみ、チップを置いていく技術となっています。リリース層が膨らむことによって、チップを落としていくのでレーザーによる直接的な損傷がないとされています。理論上は1時間に1億個以上のチップのトランスファーが可能とされており、実現すればマーケットが大きく開く可能性があります。 なお戦略的買収を行ったKulicke & Soffa社は以前からミニLED & マイクロLEDの研究開発に力を入れており、特に近年アライアンス戦略を活発化させている米国スタートアップ企業Rohinni社とは共同でミニLEDの実装装置PIXALUXを開発しており、事業は堅調に成長しています。 References Kulicke & Soffa. (2021). Kulicke & Soffa Further Extends Mini and Micro LED Technology Through Strategic Acquisition of Uniqarta
台湾Epistar社がミニLED量産のスマート化に対応するため、テストおよびソーティングプロバイダーの惠特科技社から先進生産設備を取得したと発表しました。9億台湾元(NTD)の設備投資となり、一方の購入先の惠特科技社は、ミニLEDのプロービング、テスト、およびソートサービスをファウンドリーとしても提供しており、その事業は急成長しています。 (Ennostar, 2021) Epistar社はApple社のバックライト用ミニLEDの主要サプライヤーとしてもノミネートされており、当該プロジェクトが最終認証段階に入り、量産準備が着々と進められていると報じられています。Epistar社とLextar社は共同持株会社Ennostar社を昨年設立しており、台湾LED業界の再編を主導しています。またEpistar社は中国Leyard社とも提携しており、共同で出資した利晶微电子社を設立し、マイクロLED量産設備を昨年稼働させています。 弊社沖為工作室合同会社ではミニLED動向も含めた市場調査分析レポート「マイクロLEDマーケットトレンド-2021版」を2021年4月9日に発行予定です。こちらはPPTスタイル(PDF)で最新市場概況からアプリケーショントレンド、技術トレンド、競争環境分析、詳細市場規模予測等が含まれる予定です。また同時進行でマイクロLEDに関する執筆依頼も頂いており、こちらは6月頃の発刊を予定、昨年お取り扱いさせて頂いた台湾トレンドフォース社主催の「マイクロLEDフォーラム」の概要も含め、このイベントの魅力をお伝えする予定です。詳細が分かり次第ご報告申し上げます。 References Ennostar. (2020). Ennostar Group. Retrieved from https://www.ennostar.com/group
オンライン開催されたCES2021ではAR/VR等のウェアラブルに関する発表が目立ちました。パナソニック社、TCL社、Nolo社等が関連デバイスを出展、また2020年にコロナ下で変化したワークスタイルに合わせ、ノートブック市場で力強さを見せたレノボ社がARグラス「ThinkReality A3」を出展しました。これまでARは外で使う用途がフォーカスされていましたが、同社はARグラスを個人の作業を多芸化するものとして訴求しています。バーチャルモニターを複数表示させることで、より開かれたワークスペースを労働者に提供することで、変異種の出現等でいまだ明確な先行きが見えないコロナ禍において、労働生産性を高めるソリューションを提案しています。 (Lenovo, 2021) マイクロLEDと絡めた話で言えば、Vuzix社がJBD社との提携発表とともに、マイクロLED ARグラスを出展。マイクロLED ARグラス製品は以前からも報じられていましたが、2021年の下半期に上市される予定です。提携先のJBDは2020年11月にJBD4UM480PマイクロLEDディスプレイシリーズを上市しており、老舗スマートグラスメーカー(Vuzix社)と2015年創業のスタートアップ(JBD)の協業が期待されます。 (Vuzix, 2021) References Lenovo. (2020). ThinkReality A3.
Vuzix. (2021). Dual disolays Cameras & sensors. 先日、フランスのAledia社が、300mm(12インチ)シリコンウェーハ上に製造されたマイクロLEDチップの製造に成功したと発表しました。加工されるウエハーのインチサイズを大きくすることができれば、それだけマイクロLEDのチップにするための利用効率が高まります。同社はフランスのCEA-Letiのスピンアウトで3D GaN-on-Siマイクロワイヤ技術を開発しています。2DマイクロLEDと違い、3D(Micro Wire)LEDは側壁も発光に使われ、発光エリアが2Dの場合より大幅に改善されます。またシリコンベースであるので、半導体業界で蓄積された技術との相乗効果が期待できます。 近年のトレンドとしてデバイスはよりコンパクト化され、部品もマルチファンクション化進んでいます。マイクロLEDも、μレベルでのコンパクト化も検討されていますが、フリップチップではチップが小さくなればなるほど、P, Nの配置にデザイン的な制約が発生します。また電流の混雑が起こる可能性もあり、例えば台湾のMikro Mesa社は垂直LED構造を採用することにより、そうした課題を乗り越えようとしています。 カナダのマイクロLEDスタートアップであるVueRealも、独自のフリップチップマイクロLED構造を開発しています。直近の報道では、99.9%を超える歩留まりで実現できたとされます。VueReal社はMICROVUEカートリッジ検査システムも提案しており、総合的なプロセスパフォーマンスの向上を提案しています。 (VueReal, 2020). Retrieved from https://www.vuereal.com/products 弊社沖為工作室は2021年にマイクロLEDに関するマーケットリサーチレポートを発売する予定です。コロナ禍の中においても開発が進められるマイクロLED市場について継続的に調査してきた内容を纏める予定です。
沖為工作室合同会社は10月28日、R&D支援センター社主催「マイクロLED、ミニLED最新動向」セミナーにて、講演を行いました。中国、台湾のディスプレイメーカーはすでにマイクロLEDディスプレイを自社の成長戦略に組み込んでいる一方でマイクロLEDディスプレイやミニLEDディスプレイはまだ技術的に成熟していないと考えられます。素材の均一性や高度な検査技術は日本企業にビジネスチャンスが多くあると分析しています。 ディスプレイは言葉通りの「表示」という機能だけでは足りなくなっており、私たちと現実を繋ぐインターフェースとなっていきます。マイクロLEDはコスト面において高価であることが予想され、性能の向上で追加コストを正当化する必要性があります。講演では市場トレンドや市場規模分析の他、マイクロLEDやミニLEDの特性を付加価値に生かして、マーケットに訴求していく可能性についても触れました。 コロナ禍に関わらず、ご参加賜った多数のご聴講者様に、改めて深謝申し上げます。
奧拓電子(AOTO Electronics)と厦门信达信息科技が戦略的協力協定を提携し、ミニLED、マイクロLEDディスプレイの開発を加速させる方針です。奧拓電子(AOTO Electronics)は特にハイエンドのディスプレイ市場(商業ディスプレイやホームシアター等)に参入しており、厦门信达信息科技はディスプレイのRGBパッケージ、白色LEDパッケージ等を提供しています。協定にはミニLED、マイクロLEDに関して包括的に共同開発に取り組み、海外投資も共同で行うとしています。 ミニLEDはTVやモニター、ノートブック向けですでに採用が開始されており、2020年は康佳、TCL、小米等、中国勢を中心に本格的な製品投入がされています。またマイクロLEDについてはJBDが2020年11月にJBD4UM480PマイクロLEDディスプレイシリーズをリリース予定と発表がなされています。(AmµLED™ family で三つ目のラインアップ) 0.13インチ(3.3 mm)サイズで、解像度は640X480。JBD4UM480Pはスマート眼鏡等を想定しており、市場動向が注目されます。 なお、弊社沖為工作室はR&D支援センター社主催セミナー「マイクロLED、ミニLED最新動向」で10月28日に講演を行います。新型コロナウイルス(COVID-19)により、多くの企業が投資活動の見直しを余儀なくされていますが、マイクロLEDを取り巻く環境は停滞どころか、将来のコア技術として開発を推し進めようとする会社が目立ちます。このセミナーではマイクロLEDを取り巻く最新のマーケットトレンドはもちろんのこと、ディスプレイの領域に限らず、幅広い視点からマイクロLEDの可能性について発表する予定です。 2020年10月28日(水)13:00~16:00 主催 (株)R&D支援センター 問い合わせは☟主催者殿のホームページをご参照下さい。 http://www.rdsc.co.jp/seminar/201079 開催場所 【WEB限定セミナー】※在宅、会社にいながらセミナーを受けられます 価格 非会員: 49,500円(税込) 会員: 46,200円(税込) 学生: 49,500円(税込) 【プログラム】 1.マイクロLED、ミニLED市場概観 1.1 最新市場動向 1.2 関連企業の動向、アライアンスの現状 1.3 中国、韓国、台湾プレイヤーアップデート 2.マイクロLED、ミニLED 技術トレンド 2.1 マストランスファー 2.2 モノリシック、色変換等 2.3 マスインスペクション 2.4 マスリペア 3.マイクロLED、ミニLED アプリケーション別トレンド 3.1 デジタルディスプレイ 3.2 TV 3.3 AR/VR 3.4 タブレット、ノートPC 3.5 スマートフォン 3.6 自動車 4.マイクロLED、ミニLEDの将来展望 4.1 市場規模予想 4.2 競争環境分析 4.3 デジタルエクスペリエンスとマイクロLED 特許日2020年9月15日として公開されているアップル社のマイクロLEDに関連する特許がメディアで取り上げられ、話題になっています。特許にはリストバンド式のウェアラブル(フィットネスバンド)の図もあり、アップルウォッチ等の採用が注目されていますが、本特許自体はアプリケーションとしてはフィットネスバンド、スマートフォン、ノートブック等が想定されています。また当特許は実装の先の過電圧対策についてのもので、ピクセルコントロール(μLED)とマイクロドライバー、タイミングコントロール等を含めたシステム設計について広範囲な議論がされています。 ( Apple, 2020) 一方で日本国内でもApple Watchについて特筆すべきニュースがありました。医療品医療機器総合機構 (PMDA)が2020年9月4日付で、「家庭用心電計プログラム」(承認・認証番号:30200BZI00020000)と「家庭用心拍数モニタプログラム」(承認・認証番号:30200BZI00021000)を医療機器承認・認証しました(クラスII)。当承認により、デバイスとアプリ(プログラム)を通じ、心電図を表示したり心拍数をチェックしたりすることができます。Apple社がどこまでこの市場に本腰を入れてくるかは不明ですが、昨今の環境変化により健康に対する関心が今まで以上に高まっているのと、身体もしくは健康に対するビッグデータを有効なアルゴリズムによって、評価していくことは現在進行形のトレンドでもあり、注目が高まります。 References Apple. (2020) . Electronic Display Emission Scanning.
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