Ferring Pharmaceuticalsは同社子会社となるRebiotixが開発しているC. difficile感染症向け「RBX2660」が米国FDA諮問委員会において賛成票を獲得したことを報告しました。 RBX-2660のPhase3に関する報告では、RBX2660はCDIの再発を減らし、治療後8週間において最大78.9%が無再発のままでした。特に胆汁酸組成が治療後に一次胆汁酸優勢から(腸内細菌によって代謝された結果として)、C. difficileの栄養成長を制限する二次胆汁酸優勢に有意にシフトしたことが示唆されていました。 すでにSeres Therapeuticsも同社の再発性C.difficile感染症向けSER-109について、先般、生物学的製剤承認申請(BLA)の提出手続きを完了しており、2023年の商業化が期待されています。 マイクロバイオーム治療薬はC. difficile感染症向けの他、潰瘍性大腸炎、クローン病、固形腫瘍、尿路上皮癌、アトピー性皮膚炎向けなど開発が継続していますが、微生物と疾患の関係性は複雑であり、画一的なアプローチが難しいのが実情となっています。そのため、人によって異なる細菌の在り方をさまざまな種類のゲノムおよび環境データを組み合わせた統合的な分析アプローチ(統合オミクス解析等)で解明をしていくことがスタンダードになりつつあります。 まだ腸内細菌が人間の身体に及ぼすメカニズムは完全に解明されているわけではありませんが、マイクロバイオーム治療薬の研究は多くの被験者を含む腸内細菌データ提供者を巻き込むとともに、スタートアップ企業らが多額の赤字前提で研究開発を行い、その赤字を大企業や投資家らが支えるという構図で推し進められてきました。マイクロバイオーム治療薬は細菌学という相対的に新しい学問・技術の応用であり、人もしくは生命の健康やデータ解析技術、試験・評価装置など、産業やアプリケーションのすそ野も広い技術として捉えられています。 マイクロバイオーム治療薬は、典型的には免疫システムの改善をターゲットとし、新型コロナウイルス感染症向けでも開発が進められています。バクテリアを応用した技術は季節性インフルエンザや将来のパンデミックとして懸念される他のウイルス用途にも使用できる可能性があるものとして期待される他、健康食品、スキンケア、農畜水産業や、微生物をCO2変換技術などの分野など、様々な市場で用いられることが推進されています。 「マイクロバイオームマーケットトレンド-2022版」好評発売中!
https://www.chong-wei.com/microbiome_market_trend.html 沖為工作室合同会社は先日、マイクロバイオームマーケットトレンド2022を発売しました。腸内細菌やスキンマイクロバイオーム、プロバイオティクスシーケンシング技術などをメインに取り扱っています。 コメントの受け付けは終了しました。
|
Author沖為工作室合同会社 Categories
すべて
Archives
9月 2024
|