これまで車載バッテリーに関して、NMCやNCAは正極材としてニッケルの特性を生かし、容量を高めることが取り組まれてきました。一方でNMCとNCAにはC (コバルト)が含まれていますが、これは高価で希少な金属であり、一般に電気化学的性能に不可欠であるとされています。現在、コバルトフリーバッテリーであるNMAに関する開発、研究が活発化していますが、この領域は課題が複雑に絡み合います。 一つは性能面で量産に耐えうるレート特性を維持するためにNi、Mn、Alの3元素の含有量の調整や補助技術(表面被覆、添加剤等)の確立です。二つ目は希少価値とされるコバルトが無くなると、リサイクル・リユースに関わるプレイヤーの動機付けが弱まる懸念があります。リサイクルに関わる技術が進められる一方で、回収に関わるコストを転嫁できるスキームを構築しないと参入プレイヤーの育成ができません。 (Li-Cycle, 2020) またコバルトはコンゴでの劣悪な労働環境で児童を含む労働者から採掘されていることが指摘されており、コンゴ産のコバルトが意図せず使用されてきた可能性もある市場が単にコバルトフリーに移行するだけでは道義的な責任を問われるリスクもあります。 電気自動車の需要増加に伴い注目を集める車載用リチウムイオン電池ですが、課題はまだ多くあります。沖為工作室合同会社はサイエンス&テクノロジー社主催セミナー「車載用リチウムイオン電池のリサイクル技術動向と産業各社の取り組み事例」の第4部で講演する予定になっています。中国の車載バッテリーのおける最新のリサイクル、リユース動向について発表する予定です。 【セミナー概要(予定)】 日時 2020年10月14日(水) 10:30~16:30 会場 東京・品川区大井町 きゅりあん 5F 第2講習室 サイエンス&テクノロジー社セミナーご案内ページ☟ https://www.science-t.com/seminar/B201094.html References Li-Cycle. (2020). Lithium-ion Battery Recycling - Advanced Resource Recovery: Li-Cycle®. Retrieved August 06, 2020, from https://li-cycle.com/ コメントの受け付けは終了しました。
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