COVID-19 (新型コロナウイルス)に対してアビガンの有効性が中国論文で取り上げられた後、この論文が取り下げられたことでも話題になりましたが、研究は継続されているとともに、再生医療を含めた新しい技術を援用したプロジェクトが進められています。実際に、中国科学技術部が武汉(武漢)において、200以上の幹細胞治療が行われ、安全性も確認できたと述べたと報道がなされています。また幹細胞療法に加えて、血漿を用いた治療も進められ、2,000を超える血漿が収集されているとされます(中国新闻网, 2020)。 世界の幹細胞産業は発展期にあり、2020年までに中国の幹細胞市場は1,200億元に達すると予想されてもいました。2018年、科技日報では第12次5か年計画(2011-2015) 以降、バイオテクノロジーの領域において、中国は大きな発展を遂げ、細胞の研究においてはすでに先頭を走っていると述べられています。 中国再生医療業界のプレイヤーも多様化が進んでいます。例えばデパート事業を行っている南京新百が幹細胞の保存事業に乗り出し、実際に健康、医療に関する事業を成長させています。またシリコンバレーを本社とし、製造拠点は中国の蘇州と広州に置くサイヤジェンは研究用幹細胞及び関連培養試薬の提供を行っており、先日、シリーズBラウンドで2億8500万元(4100万ドル)の資金調達に成功しています。 一方で再生医療市場全般の話として再生医療製品の約半分を占めるコストが人件費であるという論文も出されており、市場に浸透するにはさらなる改善が必要と考えられています。現在、コストダウンするために多様なソリューションが検討されていますが、その多くが大きな設備投資を必要とし、大きな負担となっているのが実情です。 日本国内でも京大iPS細胞研究所の山中伸弥所長が人的リソースの効果的な配分や安価で革新的な医療技術を目指し、京大付属病院の敷地内に専用の病棟を新設することが発表され、情報の集約化とコストダウン効果が期待されています。 一般論として、体内の組織や器官を再生させるということは簡単なことではありません。また工業製品と違って、生きている細胞は多様で、そもそも均質に複製させることが極端に難しいと言えます。多くの研究者がこの問題に取り組んでいますが、細胞の製造の標準化が難しいため、先述したような人に関わるコストが大きいことが課題になってきています。この観点において、既存の枠組みにとらわれずに、あらゆる手段、技術を用いた効果的な手法が模索されています。 References Lopes, A. G., Sinclair, A., & Frohlich, B. (2018, May 04). Analysis of Cost of Cell Therapy Manufacturing: Autologous Cell Therapies, Part 1
中国新闻网 . (2020, April 14). 科技部:干细胞治疗新冠肺炎安全性良好. Retrieved from http://www.chinanews.com/gn/2020/04-14/9156738.shtml コメントの受け付けは終了しました。
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