日本を代表する自動車照明メーカーであるスタンレー電気が先日、トレンドフォース社の電話インタビューを受け、その内容が記事になって公開されています。この度、特別に許可を取り、その記事の翻訳を掲載させて頂きます。沖為工作室が直近で聞いた情報によるとこの記事に対する反響が高く、世界中から問い合わせがスタンレー電気株式会社に殺到している模様です。記事の元となる電話インタビューはトレンドフォース社のリサーチマネージャーのWu氏とスタンレー電気株式会社のチームマネージャーである百足氏との間で行われています。スタンレー電気社は自動車照明メーカーとして著名であると同時に、UV(紫外線)やIR(赤外線)LEDも手がけています。 同社は2019年に米ヘキサテック社を子会社化しており、窒化アルミニウム(AlN)半導体基板を利用した深紫外LED事業を強化しています。深紫外LEDは、「UV-C」とも呼ばれ、100~280nmの波長領域の光を発するLEDですが、新しい発見についてまだ議論ができる領域でもあります。スタンレー電気社はUVランプも持っており、すでに水殺菌用途などで採用されています。深紫外LEDにおいてもキラーアプリケーションとしてはこの水処理に関する紫外線殺菌市場があげられますが、コストハードルも高く、出力をあげて、ランニングコストで訴求する一方、水関連以外向けのアプリケーションも試みられています。そうした背景がある中、奇しくもCOVID-19 (新型コロナウイルス)により殺菌に関する市場に注目が集まっています。下からは記事の翻訳です。 LEDinside(トレンドフォース社のLED市場調査部門)は、スタンレー電気の百足氏に電話インタビューを行い、2020年のUV-C LED技術と市場動向の見通しを学んだことを非常に光栄に思っています。スタンレー電気のAlNベースのUV LEDは線形の電力性能を持ち、高い駆動電流を可能にし、高出力電力を実現しています。 同社の波長265nmのUV-C LEDはすで世界最高レベルの光出力50mWを実現しおり、米ヘキサテックを買収することにより、光出力200 mWを達成し、殺菌市場において大きなアドバンテージを得ることが近い将来で見込まれています。 (Source Stanley) 波長275-280nmのUV-C LEDと比較して、波長265nmのUV-C LEDは、細菌やウイルスの殺菌・無害化をする上でより優れた不活性化効果を持っています。深紫外LEDを用いた殺菌実験でも測定条件(菌種:大腸菌/出力:40mw/照射距離:100mm/照射時間:120sec)において、塩素による消毒が効かない水中の病原微生物クリプトスポリジウムの殺菌に265nmの波長の効果が高かったという結果が出ています。 Source: Stanley 百足氏によれば、スタンレーはすでに消毒および殺菌用途について問い合わせを受けています。 高出力UV LEDと水殺菌モジュールを提供できる同社は、インフラ市場や医療市場のアプリケーションもターゲットとしています。 これまで、水殺菌向けに流量として、2L / min、10L / min、100L / minのリアクターを開発しており、不活性化率は99.99%(4 Log)を超えています。 さらに日本、アジア太平洋地域、ヨーロッパの自動車OEM向けにもUV-C LEDを展開しており、車室内殺菌市場等も想定されています。
以上が記事翻訳です。水殺菌市場は水銀ランプによる殺菌がコストの面で優位性がありましたが、LEDに置き換えることができれば水銀フリーとなり、小型化もできるようになります。そのためブレークスルーが起これば、医療から環境、ICT分野まで幅広い分野において、市場を急速にペネトレイトしていく可能性があります。 コメントの受け付けは終了しました。
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7月 2024
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