中国SVOLT社(蜂巢能源)がオンライン発表会でコバルトフリーバッテリーについて発表しています。新たに発表がなされたコバルトフリーバッテリーは、エネルギー密度が245Wh/kgで航続距離が600kmになるものとエネルギー密度が240Wh/kgで航続距離が880kmとなる2つのバッテリーでその内の一つは長城汽車が製造するハイエンドモデルに搭載するとしています。 (蜂巢能源, 2020) テスラ社も自社のEVコストをガソリン車並みにすると語っていますが、SVOLT社のバッテリーも航続距離としては、ガソリン車のレベルになってきます。単結晶とナノコーティング技術を援用しているとされています。 SVOLT社は、江蘇省に本拠地に置く、新興車載バッテリーサプライヤーです。同社は効率的なリサイクルと再利用がなければ、コバルトは2026年頃から供給不足になると見ており、コバルト価格の不安定さはリスクファクターの一つでもありました。 References 蜂巢能源. (2020, May 18). SVOLT Cobalt-free Cell Launch Event すでに報道がされていますが、中国工信部はNEV (新エネルギー自動車)への補助金政策を2022年末まで延長する方針をアナウンスしています。前年と比較し補助のレンジ、額も縮小となり、さらに30万元以下のNEVにしか適用されないので、厳格化されたと言える一方、2020年で補助政策は元々終わる予定だったので、延長枠を考慮すると苦渋の決断と言える側面もあります。下に工信部が発表した資料のNEV補助金部分を引用します。 (工业和信息化部, 2020) 各々の航続距離レンジで補助金額は昨年比で削減されています。また注釈部分にも重要なことが書かれており、まず基本的なことですが、補助金政策も単純に航続距離だけで測っているのではなく、電力量(KWh)が少ないと満額もらえず、エネルギー密度等のパフォーマンスも審査されます。また昨年と同様ですが、個人用でない車(配車サービス会社用途等)は、基準から7割の補助金となります。なお30万元以下のEV乗用車にしか適用されないという制約も交換式バッテリー対応のEVは除外されるとあります。これはNIO社などが開発を進めているものを念頭に置いての政策と見られます。中国版テスラとも呼ばれるこのNIO社は新型コロナウイルスの影響で一時は従業員に給料が払えない事態に陥っていると報道されたりもしていましたが、直近では持ち直してきている模様です。 またこの補助金制度の30万元以下の部分に合わせるように、テスラ社が「モデル3」の価格を引き下げています。テスラ社の上海工場はすでに稼働していますが、この「モデル3」で2020年の中国国内のEV販売台数で首位を走っており、米中摩擦のさらなる悪化が新型コロナウイルスで懸念される中、独特のスタンスで中国市場に入り込んでいます。またCATL社のNCM 811電池を搭載しているとされるGAC Aion Sも好調です。 (GAC NE) 補助金削減や新型コロナウイルスで各EV関連プレイヤーが苦境に立たされ、部品供給の遅れも懸念がされる一方で、EVを巡る競争はすでに再開しています。 References 工业和信息化部. (2020). 关于完善新能源汽车推广应用财政补贴政策的通知 GAC New Energy Announces Pre-Sale Price for the Aion S. (2019). Retrieved from https://www.multivu.com/players/English/8505651-gac-new-energy-aion-s-electric-vehicle/ 関連プレミアムレポートご紹介。サンプルご提供可能です。お問い合わせ頂けますと幸いです。 |
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