5Gへの投資が加速している中、例えば現状、市場で5G対応製品として手に入るのはスマートフォン、テレビ等の家電製品が代表的なものとなります。一方で5G市場が常に大きな期待を寄せているアプリケーションに自動運転があります。 中国政府は4G(LTE)の段階ですでにV2Xの社会実装を進めており、5Gで本格導入をしていく方針です。自動運転では交通管制官として機能する外部オペレーターによって車をリモート制御することも議論されています。このようなリモートコントロールは、非常に短い応答時間や保証されたネットワークリソースなど、高度な通信機能を提供する5Gネットワークなしでは難しいと考えられます。 (宇通集团, 2020) 自動運転はLiDARがブームとなり、開発が進められてきましたが、完全に車に操作を任すスキームを成立させるには、ルートを極端に限定する等のことをしないと現実的には厳しい状況です。ところが5GとC-V2Xを導入することで、遠隔監視や信号誘導などのより統合的な管理体制を取ることが可能になり、安全性が高まります。また自動運転を成立させるために過度に責任を負わされてきたLiDARやセンサー等の負担を見直すことができるとともに、車載機器に求められる高度なAIや演算能力の一部を車両からシフトすることができ、車両自体のコストダウンに繋がる可能性があります。同時にC-V2Xの実装により、半導体関連企業だけでなく、自動運転車を安全にコントロールするプラットフォーム技術の発展も期待されます。 References 宇通集团. (2020). 郑州智慧岛智能网联公共交通白皮书
5Gの取り組みはグローバル規模で展開されており高度な接続性、信頼性、低遅延等を実現するものとして、導入が進められています。5Gは4Gと比較してよりダイナミックな通信環境が整うものとされていますが、5Gで消費者や社会のすべてのニーズを満たすわけではなく、より高次の通信ネットワークの議論がすでに始められています。 中国では世界初となる「6G衛星」を宇宙に打ち上げ、技術テストを実施しています。この技術がもたらすものの一つは高周波テラヘルツ波を使用することで、5Gが可能な速度の何倍ものデータ転送速度を実現することが含まれます。6Gはより高次のカバレッジ、効率、インテリジェンス、セキュリティを提供するものとして考えられていますが、6Gの仕様については流動的であり、今試行されている技術が最終的な標準になるかどうかは定かではありません。 6Gは通信、計算、ストレージ技術がさらに進化したものであり、5Gのコネクティビティにテラヘルツ帯、衛星通信網、量子コンピューター、AI技術等がさらに高次に融合されます。AR/VRや自動運転は、よりスマートになり、ロボットのコネクティビティも進化します。また非侵襲ブレイン・マシン・インターフェースのような、脳とデジタル世界が直接繋がるような技術も期待されます。6Gのビジョンはまだ明確ではなく、どのようなタイムラインで動いていくのか予測がつかない部分はありますが、各社開発に向けてすでに動き出しています。例えばHuawei社は2026年までに6Gの技術基準を設定し、関連技術を確立した後、2030年頃から順次、商業化をすると考えられています。 (Elmeadawy. S & Shubair. R, 2020) References Elmeadawy. S & Shubair. R.(2020). 6G Future Wireless Communications: Enabling Technologies, Opportunities, and Challenges
デジタルエクスピリエンスはユーザー中心であり、直感的・感情的で、多様性に富んだ体験を、適切な人が適時に、柔軟性・俊敏性をともなって得られることです。このデジタルエクスピリエンスのスキームに置いて、「タイムリー」かつ「大量」というエレメントがマストとなります。第5世代モバイルネットワーク(5G)は、新しいネットワークアーキテクチャとして構築された革新的なテクノロジーであり、主にeMBB(超高速)、mMTC(多数同時接続)、URLLC (低遅延・高信頼)、仮想ネットワーク(スライス)の四つのエレメントが特徴となっています。こうした特徴は各要素単体で捉えるのではなく、統合的に考慮してネットワークを構築することがキーとなります。 (亮风台, 2020) 亮风台社は雲南省昆明医科大学、China Mobile等が協力して開始した新型肺炎オンライン受診サービスにARグラスを提供しました。同社のARグラスと5Gを組み合わせ、CTスキャンした画像を、ARグラスに表示させます。新型コロナウイルスについてはクラスター感染のリスクが高く、医療現場のリソース不足が大きな懸念となっています。こうした状況下で、新型肺炎オンライン受診サービスによって専門医が遠隔で診療することが可能となっています。AR技術によって、3次元で実際の臓器を再現し、臓器の形状、大きさ、微細構造を確認することができます。 亮风台社は、ARテクノロジーと製品の研究開発に注力している企業でコンピュータービジョン、リアルタイム情報ストレージ、ディープラーニング、インテリジェントインタラクション、その他のコア人工知能テクノロジーを備え、ソフトウェアとハードウェア製品を統合したプラットフォームレベルのソリューションを構築しようとしています。 HiAR Cloudは、プラットフォーム戦略を使用して、協力基盤を確立し、ARクラウドサービスを共同で運用および促進しようとしています。 References 亮风台. (2020).5G+AR,垂直助力C端消费者的AR需求
新型コロナウイルス(COVID-19)が5Gネットワークで活性化され、拡散されているという、途方もない話の始まりには武漢にはいち早く5G基地局が配備されていたという背景があります。その新型コロナウイルス(COVID-19)は人々のライフスタイルの変更を余儀なくさせたとともに、改めて5G展開に対する重要性がクローズアップもされました。中国政府は堅牢かつストレスフリーなネットワークの構築と中国経済の再活性化という両局面において、5G対象エリア拡大を急ぎます。5G市場は現在進行形で技術的な進化が起きています。サムスン社が引用して公開した5Gパテントファミリー数によると、すでに特許権が付与されたことを「収穫」とするならば今の時点での「実り」はSamsung社、LG社、Nokia社が上回りますが、「種まき」しているもの(出願中や宣言されているもの)を含めるとファーウェイ社、ZTE社の中国勢のプレゼンスが際立つ構図となっています。 (IPlytics & Samsung, 2020) 近年の工業では工程間での国際分業が進展し、国境を越えて付加価値が生み出されるようになりました。こうしたグローバル・バリュー・チェーンの構造も中国が部品を自国技術で国内生産し、輸出していくようになり、かつて先進国が担っていたポジションを占めるようになっています。このパテントファミリー数は中国が特許の借り手ではなく、貸し手となってきているということも示唆していると言えます。 一方で様々な5Gアプリケーション開発が加速していくことが期待されていますが、そのインフラとして通信事業者は統合型クラウドネットワークを推し進めています。5G時代にも統合型ソリューションはキーとなり、パブリック、プライベート、ハイブリッド、エッジの各クラウドを相互接続できる統合型クラウドネットワークシステムを構築し、リアルタイムなデジタル社会を実現することが目指されています。このような各クラウドを制御、アクセス、転送する新しい統合型クラウドアーキテクチャへのトランスフォーメーションを推進していくには、従来のものと比較して高性能で柔軟なインフラストラクチャが必要とされます。クラウドネットワーク統合の優先度は、品質の向上、コスト削減、および効率の向上を実現するとともに、より柔軟でスケーラブルなサービスを提供することに基づいています。 なお弊社沖為工作室はR&D支援センター社主催で「中国5Gの最新市場動向【LIVE配信】」と題したセミナーで2020年12月23日に講演する予定になっております。中国5G市場の様々なユースケースや部品、材料にまで踏み込んだ発表を行う予定です。 開催日時 2020年12月23日(水)13:00~16:00 主催 (株)R&D支援センター 問い合わせは☟主催者殿のホームページをご参照下さい。 www.rdsc.co.jp/seminar/201290 References IPlytics & Samsung. (2020). Samsung Announced as Leader in Patents Granted for 5G by IPlytics. Retrieved from https://news.samsung.com/us/samsung-leader-patents-granted-5g-iplytics/
中国5G市場については新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で2020年基地局建設の入札案件に一部遅延が発生した一方で、5G基地局建設は従来の計画を上回ることが想定されています。また2021年には5G基地局のコストが下がることが想定されており、100万を超える新しい5G基地局が建設される可能性があると報じられています(China.org.cn, 2020)。想定よりも早く、またより多くの基地局を配備することで、より多くの産業および消費者に対して5G関連サービスが促進されようとしています。 世界は多様化が進んでおり、それは中国でも同様です。元々中国は多民族国家であり、人口の90%以上を占める漢民族の他に、50以上の少数民族が存在するとされています。 市民、文化、日常生活や習慣、ファッションが多様化している中で、テクノロジーの力を活用して、よりスマートで、機能的で、経済的なスキームがキーとなります。スマートシティに関する5Gテクノロジーはこのような時代背景と密接に関わっています。 中国ZTE社は5Gホログラフィック技術を推進しています。過去に中国で行われたイベントでは ZTE社とチャイナモバイル社が共同で5G+ホログラフィックステージを実演し、遠方にいたバンドのリードシンガーを、5Gを介してスタジアム内のステージエリアにリアルタイムで送信し、歌と演奏が行われたことが話題になりました。 (Smith, 2020) この5G +ホログラフィックの技術は新たなインタビューの手法としても注目されており、様々なイベントでの使用が開始されています。COVID-19によって経済が暗礁に乗り出したことは事実ですが、一方でインターネットに支えられたデジタル経済が将来を牽引していくことが考えられます。 References China.org.cn. (2020, December 3). China to build 1M new 5G stations in 2021. Retrieved December 03, 2020, from http://www.china.org.cn/business/2020-12/03/content_76972990.htm
Smith, M. (2020). ZTE, Alibaba demonstrated '5G + Holographic Stage', WIMI's AR + Live Broadcast Is Going to Build New Entertainment Ecology. Retrieved December 03, 2020, from http://www.digitaljournal.com/pr/4665595 新型コロナウイルスは消費の在り方を大きく変えました。2020年、テスラ社は中国EV市場で大きな成功を収めましたが、その要因の一つとして同社のビジネスモデルの特徴の一つでもあるデジタルマーケティングがコロナ禍で機能したことが挙げられます。従来ディーラー店舗での販売が主流だった自動車販売に対し、同社はインターネット販売をメインで押し出す戦略を打ち出してきていました。また車両のソフトウェアをワイヤレス通信でアップデートすることで課金するスタイルも皮肉なことに当面は続くと考えられるソーシャルディスタンスとリンクしてきます。 Eコマースの需要増で物流業界では人手不足が深刻になっており、自動化が急務となってきています。実際に消費者へのラストワンマイルの領域ではドローンの採用が進んでいます。こうした流れの中、中国では、KFCが販売に自動運転車の導入を開始したと報じられています。Neolix社が自動運転車を供給していると見られています。なおNeolix社の車両は新型コロナウイルスで道路消毒用途でも利用されています(B&T MAGAZINE, 2020)。 (B&T MAGAZINE, 2020) このKFCの自動運転車は5Gに対応しています。中国5G市場については新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で基地局建設の入札案件が一部延期になった一方で、5G基地局計画は従来の計画を上回ることが想定されています。 なお弊社沖為工作室はR&D支援センター社主催で「中国5Gの最新市場動向【LIVE配信】」と題したセミナーで2020年12月23日に講演する予定になっております。 開催日時 2020年12月23日(水)13:00~16:00 主催 (株)R&D支援センター 問い合わせは☟主催者殿のホームページをご参照下さい。 www.rdsc.co.jp/seminar/201290 References B&T MAGAZINE. (2020, November 23). KFC Debuts Driverless Food Trucks For Socially Distanced Chicken. Retrieved November 26, 2020, from https://www.bandt.com.au/kfc-debuts-driverless-food-trucks-for-socially-distanced-chicken/
沖為工作室はR&D支援センター社主催で「中国5Gの最新市場動向【LIVE配信】」と題したセミナーで2020年12月23日に講演する予定になりましたのでご報告申し上げます。 5Gは4Gの延長線上として捉えられる側面と、消費者のデジタル体験を劇的に変えるイノベーションとして捉えられる側面があります。消費者へ与えるインパクトが大きいのと、通信という社会の根幹システムに関わるため、その技術の覇権を巡って政治問題にも発展しているのは周知の事実であります。 本セミナーでは、中国の5G市場トレンドについて、5Gで使われる部品(アンテナなど)の特性やサプライチェーン、5G基地局・デバイスの市場規模予測、5Gデバイス・サービストレンド等について解説いたします。 開催日時 2020年12月23日(水)13:00~16:00 主催 (株)R&D支援センター 問い合わせは☟主催者殿のホームページをご参照下さい。 www.rdsc.co.jp/seminar/201290 開催場所【WEB限定セミナー】※在宅、会社にいながらセミナーを受けられます
1.サマリー 1.1 中国5G 市場背景 1.2 アフターコロナとスマートシティ 2.中国5G市場動向 2.1 5G基地局市場 2.2 5Gデバイス市場 2.3 5Gサービス市場 3.アプリケーショントレンド 3.1 スマートホーム 3.2 自動運転 3.3 スマートシティ 3.4 産業IoT 3.5 スマート農業 4.コンポーネント、材料トレンド 4.1 コンポーネント(アンテナ等) 4.2 材料 5.市場規模予想 (出荷台数、金額、アプリケーション別、地域別) 6.競争環境分析 6.1 サプライチェーン概観 6.2 5G基地局、デバイスシェア分析 6.3 競争環境分析まとめ 7.まとめ |
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